2016-10-26 Wed
前日のリスニング編に続いて、今日はリーディング編です。ご承知の方も多いかと思いますが、公式にアナウンスされた新形式リーディングの変更点は以下の通りです。Part5:変更なし(問題数のみ40問から30問に減)
Part6:文挿入問題の追加(問題数は12問から16問に増)
Part7:トリプルパッセージ、意図問題・位置問題の導入(問題数は48問から54問に増)
こうして改めて見てみると、大して変わっていないように思えますが、実際には劇的に変わりました。上記の明確な変更点以外にも、明らかに傾向に変化が見られるからです。その多くは難易度を高める方向で変化しています。
先ずはPart5です。変更前の事前情報では、問題数が10問減るというだけで、それ以外の変更点はないという見方が一般的でした。割合的には、語彙問題よりも文法問題の相対的な比率が高くなるだろうとは言われていましたが、その程度の変化を見込んでいたわけです。
ですが、全く違いました。Part5全体が様変わりした印象さえ受けます。一言でいうと、問題文の文頭からピリオドまで丁寧に読まないと、正解の選択肢を確実に選ぶことが難しくなりました。文頭からピリオドまで読むという行為は、一般的には当たり前のように思われるかもしれませんが、75分間という短い時間で大量の文書を読み、かつ、100の問いに答えるという作業は並大抵ではありません。
そこで、我々は、解答時間を短縮できるタイプの問題をある程度分類し、問題文の空欄前後だけ見て正解に辿りつくスキルを身に着けてきました。これをテクニックと揶揄する声も聴こえていましたが、僕はそう思っていませんでした。日頃の学習ではピリオドまできちんと読んでいるからこそ、テスト本番で見切ることができると信じているからです。それはテクニックなどという曖昧なものではなく、不断の努力の賜物であり、実力です。
しかし、これが封じられつつあります。空欄前後の文の形だけで正解を判断できるタイプの問題が、ゼロになったわけではありませんが、明らかに減ってきています。情報量が少ない短いセンテンスにおいても、正確に文脈(あるいはセンテンスとしての整合性)を読み解いたり、より自然なコロケーションを完成させる力が求められるようになりました。あるいは、正確な文法と語法の知識を総動員して、あり得ない英文の形を排除する高度なスキルも必要になってきています。これらを〝変化〟と言わないわけにはいきません。
次に、Part6ですが、このパートの変化は見た目にも顕著です。これまでは、単語や短いフレーズで空所を補うパートでしたが、文を挿入する問題が新設されました。これまで以上に文脈を追いかけ、次の展開を予測する力が試されているわけです。
これまで、Part5とPart6を隔てていたものは、〝空欄のある英文〟を読んだだけでは正解を選べないタイプの問題でした。前後の文脈から最も適切なものを選ぶ問題です。時制であったり、語彙であったり、話の展開を左右する接続副詞であったり、形は様々ですが、文書全体の内容を理解していなければ正解を特定できないタイプの問題です。
これに、更に、文挿入の問題が追加されたことで、より正確に文脈やパラグラフ毎の英文の役割を理解しなくてはならなくなりました。もはや、従来のように〝何となく正解を選ぶ〟ことはできません。従来にも増して、誰が誰に向けて、何の目的で書いた文書なのかを十分に理解し、それぞれの段落が担う役割は何なのかを把握しなくてはならないパートに生まれ変わりました。
そして、最も変化が激しいパートがPart7でしょう。意図問題についてはリスニングでも触れましたが、設問に示されているフレーズだけ見ても正解は選びにくい作り込みになっています。むしろ、その前後の文脈から発話者の意図していることを読み取らなくてはなりません。チャット形式の文書にも慣れなくてはいけませんね。
位置問題は、現在のところ、SPにしか登場していませんが、これも慣れないと苦労しますね。しかし、Part6の文挿入問題と違い、設問の英文自体は正しいわけですから、段落の役割を強く意識する読み方が身についてくれば、それほど苦労せずに解答できるようになるような気がしています。ですが、今後、これがマルチプルパッセージに登場してくるようになると、警戒しなくてはならないでしょう。負荷が高くなります。
最後に、最も厄介なのがトリプルパッセージでしょう。文書の数が2つから3つに増えただけであれば、大したことではありません。トリプルパッセージを難しくしているのは、文書の数ではなく、設問が現れてくる順番です。これまでのダブルパッセージでは、1問目と2問目は大抵、一つ目の文書だけ読めば解答できました。3問目から、2つ目の文書も読まないと解けない体裁になっていたわけです。
これが崩されました。1問目から、3つ目の文書まで目を通していないと解答できない問題が登場してきています。これはトーイッカーにとって大事件でした。3つの文書を全て読んで、その内容を概ねリテンションしておかなくてはならないことになります。短期記憶が求められています。きちんと読んで頭に入れてね、ということです。そんなの、時間さえあれば容易いことですが、何と言っても時間に追われる忙しいテストですから大変です。しかし、トリプルパッセージを克服しないとR495点を獲れません。
どうでしょうか?Part5からPart7まで僅かな変化だと思いますか?僕の学習仲間達、多くは900点以上の実力者達ですが、軒並み塗り絵の屈辱を味わっています。900点ホルダー達が必死になっても間に合わないんですよ。生半可な気持ちでは目標スコアは獲れないのです。
では、今後どうすればよいのでしょうか?方法は数えきれない程ありますから、自分に合った方法で学習していけばよいと思います。僕は、次のように考えています。
Part5は、英文を文頭からピリオドまで読まないと取りこぼしが発生するパートになりました。語彙力の増強は勿論なのですが、それよりも重要なのは、揺るぎない文法力でしょう。これは一部、動詞の語法も含まれます。全ての文法事項を網羅する必要はありません。TOEICに出題される文法項目は極めて限定的です。HUMMERさんの〝英文法プラチナ講義〟、TEXさんの〝でる1000〟、花田先生の〝文法特急〟、加藤優先生の〝900点特急〟などをお勧めしておきます。これらのテキストを自分で解説できるレベルまで仕上げることだと思います。曖昧な文法知識は役に立たないどころか、時に有害になることを心得るべきでしょう。
Part6の文挿入問題の最も有効な対策は、正確な英語の文書を書くことができるスキルの醸成です。書き手の視点で読むことが有効なわけですから、極端な話、書ければいいわけです。公式問題集など、定評がある模試本のPart6を書けるようになれば無敵です。難しい学習方法は必要ありません。僕が推奨するのは〝筆写〟です。英文を見ながら書き写すだけです。Part6なんて長い文書ではありませんから、1日1セットくらいできます。最初はレターかE-mailがいいでしょうね。物事を他人に伝える道筋が見えてきます。おそらく英検1級のライティングを勉強している学習者は、Part6の文挿入問題は間違えないと思いますよ。普段、書いているからです。それと似たことをやるだけです。書き写すだけだから難易度は低いですし、否が応でも頻出表現を覚えられるから、読解スピードも上がるという副産物つきです。
Part7は一筋縄ではいきませんが、英語の文書の文脈を追いかけながら、先を予測しながら読む経験を積むことと、読んだ内容を短い時間でいいから、頭の中に保持する訓練をすることです。一見、難しそうですけど、日本語の文書を読む時には自然にできていることですから、勿論、個人差はありましょうが、慣れれば必ずできる筈だと僕は思っています。マルチプルパッセージでは、先ずは、2つの文書の関係、3つの文書の関係を把握してから深く読み始めるような癖をつけることだと思います。焦ってやみくもに読み始めると却って時間がかかってしまいます。同じテキストの英文を何度も繰り返し読む訓練を重ねれば、必ず身に着くスキルだと僕は信じています。
総じて、TOEICのリーディングは、付け焼刃の対策など、もはや通用しないテストに生まれ変わったのだということを受け入れて、地道に、揺るぎない実力を養っていくことだと思います。新形式のテキストを今から買い漁る必要はありません。今、手元にある教材で十分です。要は、英文が読めて、内容が頭に残ればいいだけですから。腰を据えて取り組んで参りましょう!
ではでは。
≪追伸≫
このブログ記事、読んでいて、やたら長いなあと思っているアナタ、書くのはもっと大変なのでありますよ。ホントの話。原稿用紙9枚分書きました。あ~、疲れた・・・。
今度こそ、ではでは。
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