2020-06-17 Wed
Chapter16では仮定法を学びます。仮定法というと、何かを仮定する用法のように聞こえますが、実際はそうではなく、事実と異なることや、可能性が低いことを特殊な時制を使って表現する方法と考えたほうが宜しいかと思います。慣れないと難しく感じますが、形が決まっているので、慣れてしまえば、形から話者や書き手の意図を読み取ることができる非常に便利な用法です。TOEICでも頻繁に出題されます。
例文311と312は、仮定法と対極にある直接法を取り上げています。両者を比較することで、より仮定法の理解が深まるからでしょう。例文311と312はどちらも if 節をとっていますが、この if 節の内容は現実とかけ離れていたり、実現可能性が極めて少ないような内容ではありません。従って、仮定法は使わず、直接法を用いているのですね。
例文313から315、319と320は、仮定法過去について説明しています。過去の話だから仮定法過去なのではありません。過去の時制を使うから仮定法過去と呼ばれています。実際には、現在や未来の空想を表現しているのです。313から315は現在の空想を、319と320は未来の空想を表現していますが、両者に大差はありません。あり得ないことかもしれないけど、もし~だったら、現在は~こうだ、あるいは、未来は~こうなる、と言っているわけです。
例文313と314の if 節は、主語が単数でも were という複数形対応の be 動詞を使っていますね。これが特徴です。一目で仮定法だと分かる目安になりますね。現在では、were ではなく、was が使われることもありますが、正式には were です。これから現実とは違う話をしますよ、という合図です。
例文315は、仮定法過去の慣用表現を示しています。If it weren’t for~「~がなければ」です。この表現は必ず覚えなくてはなりません。そして、仮定法過去完了になると、例文317のように、If it hadn’t been for~「~がなければ」と時制が変わります。
また、If it weren’t for と If it hadn’t been for の慣用表現は、Without あるいは、But for
で置き換えることができます。例文321の「if 節の代わりをする語句」を参照してくださいね。この2つの前置詞は短いフレーズなので、文を短縮しなくてはならない時には特に便利です。
例文316と317は、仮定法過去完了の過去の空想です。過去に起こったことが現実とは逆のことを、あるいは現実とはかけ離れていることを表現します。例文316では、電車に乗り遅れていたら、タクシーに乗らなくてはならなかった、つまり、電車には間に合ったので、タクシーを使わずに済んだと言っているわけです。例文317では、パソコンブームが来なかったら、会社は拡大しなかった、つまり、実際にはパソコブームが訪れたので、会社はそのお陰で拡大した、と言っているわけです。
仮定法過去完了と仮定法過去が一つの文章で混在することがあります。それが例文318です。if 節では仮定法過去完了の時制を使い、主節では仮定法過去の時制を使うという表現です。過去、〇〇をしていたら、今は〇〇だ、というパターンです。過去の行為の結果が現在に及んでいるケースですね。何も難しいことはありません。if 節と主節の動詞の形がそれを教えてくれるのです。仮定法は形が重要なんです。
例文321から324は、if 節の代わりをする語句、if 節が省略される場合を説明しています。例文321は前述の通りです。322は、to 不定詞が if 節の代わりの役目を果たしています。同様に、分詞構文で用いる過去分詞や現在分詞が if 節の代わりとなる場合もありますので、併せて抑えておきましょう。
例文323は、主語に if 節の意味が包含されている場合です。これは気にしていると結構、あちこちで使われていることに気づきますよ。例えば、来週の大会にはどうやって行ったらいいかなあ?と同僚から訊かれて、I would drive. 僕なら車で行くよ。この would がそうです。If I were you が省略された形ともとれますが、実際に大会に行くのは「僕」ではないわけですから、仮定法がピッタリなんです。例文324は、まさしく if 節の省略ですね。
例文325と326は、願望を表す仮定法で、動詞の wish を使います。I wish that で始め、that 以下のSVに仮定法の主節の時制を使います。従って、that 以下は、事実に反することや実現しそうにない内容になります。気を付けないといけませんね。 うっかり、I wish that you would pass the exam.としたら、君が試験に受かることを祈ってるよ、まあ無理だとは思うけどね、という意味になります。この場合には、I hope that you will pass the exam.が相応しいでしょう。ちなみに、I wish that の that は大抵、省略されます。
例文327から330は、仮定法を使って、へりくだった依頼表現をつくる場合を示しています。時制を一つ前に、つまり、一つ過去に戻すことで、現実との距離をとり、丁寧さを表現するというものです。無理だったらいいんですけど、無理だとは思うのですが、もしよろしかったら、〇〇していただけませんか?という一歩引いたイメージですね。
最後の例文331は、as if, as though を使った表現です。仮定法過去、仮定法過去完了のいずれにも使われます。as if, as though の後ろは通常、事実と反する場合か、事実かどうか分からない場合の内容になります。ただし、It seems as if, It looks as if などで始まる文は、事実とは無関係に、単に「~のようだ」と言っているだけなので、仮定法ではなく、直接法を用いるのが適切です。
いかがでしたでしょうか?日本語には絶対にない仮定法の奥深い表現に魅了された方もいらっしゃるのではないでしょうか?現実と距離を置くという体裁をとることで心の内を巧みに表現する、英語圏のネイティブならではの発想には新鮮な気持ちになりますよね。いつものように例文を10回音読しておきましょう。
ではまた。
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