2015-03-04 Wed
先日開催された「AGB総選挙2015」での僕の発表テーマはPART5にフォーカスしたもので、“難化するPART5を迎え撃つ!”というタイトルでした。当日は2位に選んでいただき、プレゼンは最後のほうでしたから、プレッシャーが半端ではありませんでした。特に今回はいつ自分の出番が来るか分からない、その場での順位発表方式でしたから、常に緊張を保っていなくてはならないわけで、始まる前から疲弊してしまいました。
トリは流石でした。英語部代表の清涼院流水さんが、やはり1位に選ばれ、代表の名に恥じない
貫録のプレゼンテーション!聴衆を惹きこんでいきました。詳しくは参加者にお聴きください。
さて、今日のブログ記事では、イベント当日お伝えし切れなかった部分も含めて、僕の発表内容を開示します。発表者がプレゼンに与えられる時間は各自10分しかなく、思うように伝えきれなかった部分が多分にあるのですね。カットしてカットして無理矢理10分に短縮したわけです。というわけで、僕が伝えたかったことのノーカットバージョンをこのブログで披露しますので、ご興味がある方は是非ご一読ください。
以下、相当長いです。おそらく僕がブログを立ち上げてからの最長ブログ記事となります。数えたら5,400文字程度ありました。
<テーマ:難化するPART5を迎え撃つ!>
TOEICテストには7つのPARTがあるわけですが、あえて僕がPART5をテーマに選んだのは理由があります。それはPART5こそ、初中級者が最も得点を上げ易いPARTであり、そして同時に、ここが重要なのですが、満点狙いの上級者の前に最後に立ちはだかる壁となるからです。つまり、易しい問題と難しい問題がはっきり分かれるんですね。英検などと違って級別によるテスト区分がないからそうなるんでしょうね。
当日、参加された皆さんはTOEICについては既に一定の知識をお持ちの方が多かったので釈迦に説法だったかもしれませんが、念のため申し上げると、PART5の40問は、大きくザックリ文法問題と語彙問題に分かれます。文法問題のほうが問題数が少なくて大体17問くらいでしょうか?勿論、受験回によってバラつきはあります。
まあ、とにかく語彙と文法です。両者を一色単に論じるのは色々な意味で無理がありますから、PART5の難化については、文法問題と語彙問題の2つに分けて検証してみる必要がありそうですね。
さあ、ここからが本題です。
先ず文法問題ですが、
文法問題を難化させようとしたら考えられる方法は大きく分けて3つあると僕は考えています。
1つは問題文に使われる語彙レベルを上げる。選択肢ではなくて、問題文中の語彙です。一般的に、語彙レベルを上げると文全体が難しくなります。いや、正確には難しく感じます。え、文法問題なのに語彙の話?と思われるかもしれませんが、600点台で苦しみ続けた僕の経験では、ひとつの英文に3つ以上知らない単語があると、その文の意味をとるのは困難になります。出題される文法項目の傾向が全く変わらなくても、語彙のレベルを上げることで正解率は一定落ちる筈です。
2つ目は、関係詞や分詞などを多用して文章を長くし、かつ、倒置や省略、分詞構文なども適宜織り込み、文章を複雑にします。こうすると、英文の骨、つまり構文を見抜くことが難しくなります。構文を把握できないと、時間に追われる受験者は、自分の中でロジカルに解くことを諦めて、苦し紛れに誤答の選択肢を選ぶ可能性が高くなります。これも僕の経験から言えることです。
最後、3つ目は、これまでTOEICで取り上げることがなかった文法項目を追加することです。ご存じの通り、TOEICで出題される文法問題の範囲は極めて限定的です。HUMMERさんのプラチナ講義で出てくる項目、現状、あれがほぼ全てです。通読した方はお分かりかと思いますが、一般に英文法と言われている全範囲のごくごく一部です。ですから、TOEICの模試など、TOEICに特化した素材だけを使って学習していて、フォレストとか1億人の英文法とかの英文法書籍を一冊全体を網羅した経験がない学習者は、これをやられたら、つまり、これまで出題していない範囲の文法を出されたら、おそらく一発で撃沈しますね。知らないものは解けないからです。
というわけで、文法問題を難化させることができる可能性は、この3つです。でも、実際には、語彙レベルを極端に上げることも、文法の出題範囲を変える、あるいは追加することもできないんですね。これはあとで、語彙問題をご説明する時に、理由を述べます。2つ目に示した、文章を長く複雑にする、これは一定程度なら有りだと思います。しかし、限界がありますね。どうもETSは、PART5の語数にキャップを設けているフシがあります。おそらく長くても35~38語程度ではないでしょうか?それ以上長い文章が出題されることは、ゼロではないけれど、極めて稀です。変な韓国模試を解くと、ふざけんなっ!ていうくらい長いヤツが出てきますけどね。それはご愛嬌ということで。
ここで一旦、文法問題について僕の結論を言うと、文法問題を現行に比べて「著しく」難しくすることはできないと思っています。前述の3つ検証に加え、もうひとつ言うならば、語彙問題と違って文法問題は、正解の選択肢以外は明らかに間違いでなくてはならないという制約がありますから尚更ですね。いわゆる“際どい問題”って作れないんです。総合的に考えて、おそらく現状のまま推移するでしょう。ここは難化しないんだ。これまでアビメR5が100の人はこれからも100を獲れるに違いない。従って、今回のテーマの核心からはちょっと外れますかね?
となると、難化させることができるのは語彙問題ということになります。僕はそう思っています。まあ、語彙問題と単純に言い切ってしまっていいかという疑問は残りますけど。語彙問題にも色々なパターンがありますから。でもそこは大目に見てください。ここでは、文法問題以外は語彙問題と定義します。そして今回の発表テーマの核はここです。とっても長い前振りでした。
では、語彙問題は何故に難しいのでしょうか?傾向は2つあります。ひとつは選択肢、もうひとつは問題文ですね。というか、この2つしかあり得ませんよね。101番の上にあるイントロダクションを難しくしたって仕方ありませんからね。
先ずは選択肢です。これまで考えられていたことですが、選択肢にある語彙そのものが難しい。英検1級みたいに(A)~(D)まで4つ全部知らないということはあまりないかもしれませんが、2つ以上知らないものがある。そうなると選べないわけです。選択肢語彙の難化、これが一つ。
でもこれは、意外と上級者は何とか切り抜けますね。何度も満点を獲るような人が知らない語彙があったとしたら、それは相当高い確率で誤答の選択肢だからです。俺が知らない語彙が選択肢にあったら、それは正解じゃねー、と思ってたらいいんです。それはダミーだ。問題製作者の立場に立って考えれば、誤答の選択肢の語彙の難易度を高めるのは簡単なんです。いくらだってできるんです。だって、極端な話、本文に直接関係ないんだから。
となると、次は問題文です。これが2つ目です。でも、問題文本文の語彙は難しくするには限界があるのです。いや、本質的には、できないと言ったほうがいいかもしれません。何故か?それは、テーマの核心に触れるのですが、
PART5の問題は、主にPART7から生まれてくるからです。元々はPART7に出てくるような文章なのです。PART5の問題だけ別の次元で作られているわけではありません。元はひとつです。変な韓国模試をやると、別次元で作られてるとしか思えない奇妙なPART5に出くわしますから注意が必要ですけど、本来はひとつと考えるべきでしょう。
PART7とPART5の素材が同じだと仮定した場合、PART5に難しい語彙だとか、今までになかった文法問題を盛り込むことは現実的に難しいのです。それはつまり、PART7の出題傾向を変えなくてはならないことを意味するからです。出題の素材、というか、トピックというか、とにかく、これまでの出典を変えなくちゃいけない。
ですが、現行のTOEICは、英検やTOEFLとは違って、一般的なビジネスシーンと日常生活にフォーカスしているテストですから、出典、出所の素材を劇的に変えることはおそらくできないんです。
TOEICは国際コミュニケーション能力を測定するテストを標榜しているわけで、一般的なビジネスシーンと日常生活という狭い枠の中で、極めて限定的な範囲で、問題は作成されるのです。もしこれを変えようとしたら、受験者に対して、それなりの事前のアナウンスが必要ですよね。そう思いませんか?問答無用で変えられないでしょう?新々TOEICに切り替わるタイミングではどうなるか分かりませんよ。念のため。
そこで、次が、今回僕が言いたかったことです。最新語彙問題の難化傾向です!限定的な文書の範囲の中で難しくする方法をETSは試みた、先月。1月の公開テストを受けて、僕はそれに気づいたんです。僕はマイナーフォームだったのですが、PART5が鬼のように難しかった。いや、難しいと思った。8問くらい悩みましたからね。いつも悩むのはせいぜい1問か2問なのにです。世間でも、マイナーは難しかったと噂になりましたよね。ここ数年で一番難しかったんじゃないかと。だけど、何日か経ってみて、実は難しくなんかなかったことに僕は気づいたんです。単に学習が足りてなかっただけだって。
僕は比較的時間がある時に、過去に解いたことがある模試のPART7本文を速読してるんです。昼休みとか電車の中が多いけど。過去っていってもあんまり昔じゃダメですよ。僕は、12月までやっていたOサンダーさんの「解きまくる会」とか、この1月からキックオフしたPoohさんの「TOEIC勉強会」で解いた模試を使って、それをやってるんですね。最終的には15分程度で1セット読めるレベルにまで仕上げてる。
それで、ある時、1月の公開テストの後ですけど、5セットくらい一気にPART7を速読してたら気づいたんです。「あ、ここに答が出てる」「あ、ここにも・・・」って。1月の公開テストで難しいと感じた語彙問題がひとつを除いて全部出てたんですね。PART7の本文中に。それが何かはここで再現すると問題の漏洩になってしまうので言えないのですが、とにかく出てた。「え、あの接続副詞がここに使われてるの?」「え、あの副詞にこんな使い方が?」とまあ、とにかく言えなくて残念ですが、実際に出てたんです。
今回のテーマ、難化するPART5を迎え撃つ!の答を言います。何だ、そんなことか、ですよ。対応策は、PART7の本文を極めることです。極めると言うと些か大袈裟ですが、いつかPART5に出ることを想定して隅々まで丁寧に読み込むことです。
ただし、その勘所を押さえるためには一定量の演習が必要だと思います。2/11にブチブッチさんと「ラビ&ブッチのPART5マシンガン!」というPART5を400問解きまくるイベントを実施したのですが、その意図するところは、実はここに繋がっていたのです。当日は言えなかったんですよね。今回の内容がネタバレしちゃうから。
PART5を10セットくらい一気に解いて、その残像を頭にキープしたままPART7の本文を読むんです。PART5のテスティングポイントを、ぼんやりとでもいいから頭に残したままPART7本文を読む訓練をする。そうすると、色々なポイントが見えてくるのです。
例えば、「え、since って、接続詞と前置詞だと思ってたけど、副詞もあって、こんな風に使われるのかあ?」「provideっていう動詞は前置詞なしで目的語を2つとれるんだあ」「え、この動詞はSVOCの形をとれるのかあ?」ってことです。数え上げればキリがないくらいです。
PART5を一定量を超えて解きまくると、PART7を読んでいる時にテスティングポイントが見えてくるんですよね。今まで出会った問題だけではなく、他のポイントも何となく見えてくるんです。不思議ですけど。PART7を直接は問題の解答とは関係ない箇所まで含めて熟読し、分からないところは徹底的に調べて理解する。その後は何度も読み返す。これがPART5の最後のピースを埋めるんです。
そうすることでネイティブの英語感に近づくんじゃないかなと僕は考えています。ETSは、ネイティブの感覚なら簡単に解けるけど、日本人や韓国人の感覚だと間違えるというポイントをよく知っています。難しい語彙をばら撒くのではなく、易しい語彙の正しい使い方、意外な使われ方など、ネイティブ的な感覚を試す方向に舵を切ったのではないでしょうか?PART7を覚えてしまうくらいに読み込んでいくことで、我々もその感覚に近づくことができるのではないか?僕はそう考えます。
最後にひとつ。難化するPART5を迎え撃つために、TOEIC以外の素材なんか要らないと僕は思う。最後のワンピースを埋めるためには、TOEICの素材を離れて、もっと難易度の高い素材に触れないとダメだ、とか言う人がいるけど、僕はそうは思わない。いくら他の素材に手を出したって、PART7が隅から隅まできちんと読めていないんだったら40問全問正解なんかできない。逆に、TOEICの素材を完璧に理解できていれば獲れるんだ。それを証明している先生方が、数は少ないけど実際にいらっしゃいます。
以上です。長々とお付き合いいただきまして有難うございました。
ではまた。
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